みなさんこんばんは、台風一過で良いお天気が続いていると思ったらまた次のが来てるみたいでほんと勘弁してほしいです。
さて今日は
ご納棺の儀
について書いていきたいと思います。
ご納棺といえばみなさんご存知の「おくりびと」がまっさきに出てくるかと思います。私も見ていますが確かに良い映画ですもんねえ。でもあれ以来ご納棺というとほぼおくりびと的な感じを期待されてしまいますので少しつらい部分もありますけど…
本来ご納棺というのはご当家の方で行っていました。昔は葬儀社といってもお棺や祭壇を持っていって飾り付けたらおしまいって感じでしたので。ですから葬儀社が置いていった棺にご親族の方で故人様を旅装束に着替えさせて収めるというのが普通に行われていました。とくに田舎では20数年前まではまだまだそういう感じだったんじゃないでしょうか?現在ではほぼすべての場合で葬儀社がご納棺をさせていただいていると思います。
ご納棺の儀式の流れは、まず故人様をご当家のご希望の服装に着替えさせていただきます。ただし状態などによって着せ替えができない場合もあります。昔ながらでしたら旅装束になるんですけど最近は故人様の好きな服やお着物なんかに着せかえることが多いですね。
お着替えが終わりましたら皆さんにお手伝いいただきまして旅装束の小物を手足につけさせていただきます。その時にいろいろと装束のいわれや理由、49日間の旅についてお話しさせていただいたりします。せっかくの機会なのでこういったことの意味をできれば覚えていただきたいですので。
これらのことが終わりましたら故人様をお棺に納めさせていただきます。ドライアイスなどお棺内を整えさせていただきましたら、副葬品を収めていただきます。
この副葬品なのですが最近はかなり入れられるものに制限があります。当然燃えないもの(ガラス、陶器、金属など)はダメですし、燃えるものでも分厚い本とかもNGです。皆さんたき火などで本を燃やしたことがある人ならわかると思いますが、本はとても燃えにくいんです。服などは入れますがこれも大量になるとNGです。化学繊維を大量に入れますと火葬が正常な状態で行えなくなったりしますので。
こうして書いていると厳しいなあと思われるかもしれません。確かに私たちもみなさんが故人のためにと想って入れてあげたいわけですからできるだけご希望には沿いたいと思ってアドバイスしながらさせてはいただきます。しかし行き過ぎてしまうと収骨するお骨がきれいにできない場合が出てきます、そうなると後悔するのはご当家の皆さんになりますのでやはりある程度のところで抑えていただくようお願いをさせてもらっています。
確かに昔は時計も眼鏡も入れてましたからねえ、でもあれ火葬の炉に溶けて引っ付いたりして大変なことになるんです。修繕するのにかなりのお金がかかりますから火葬場が新築されたときにきちんとすることになったというわけです。ですから時には厳しいことも言うかもしれませんができれば勘弁してやってください。
少し話が脱線しましたが、副葬品を入れましたらその後は末期のお水の儀式を皆さんにしていただきます。 関東ではこのようなのを使いますが、関西では樒の葉っぱを使ってやります。その後おふたを閉めることになります。
基本的な流れはこのようなものでしょうか。
最近ではご納棺の際に湯灌(ゆかん)といいまして本物のお風呂に入れてあげたりすることもできます。
つかる感じというよりはシャワーを使ってきれいにする感じですが、当社でも当家様のご希望があれば専門の業者さんを呼んでしてもらえます。自宅に湯船を持ち込んできれいにし、着せ替えまでしてくれます。基本的には病院できれいにしていただけるのであまりすることはないですが、されたご当家様は喜ばれる方がほとんどです。かなり大がかりにはなりますのである程度の費用もかかってしまいますが、十分な価値はあると思いますよ。
最後に、私たちが行うご納棺は基本的に私たちが勝手にやってしまうんではなくできるだけご当家様と一緒にするようにさせてもらっています。故人様の子供さんやお孫さんは子供のころに服を着せてもらったりしたはずです。晩年の介護をされた方はやっておられたでしょうがそれ以外の方はこういった身に着ける物のお手伝いをしていただくことで子供のころの恩返しにもなるんじゃないでしょうか?業者がすべてやってしまうんではなく少しご当家様が手を煩わせていただければ故人様も喜んでくれると思います。
ですから「おくりびと」を期待されてしまうと困ることがあるんですよねー。私ももっくんみたいに男前やないですしねえ…
とはいえご納棺はとても大切な儀式です。私たちも故人様やご当家様に失礼の無いように行わさせていただきたいと思っています。