今日は土曜日だったこともあり、またまた一日栗むき機と格闘してきました
今回はご遺体の保存処置
について書いてみたいと思います。
一言で保存処置と書いてますが、それにはさまざまな方法があります。まず代表的なのがドライアイスによる冷却保存です。
この方法は最も一般的に行われている方法で効果も実証されてますのでご存知の方も多いかと思います。当社も基本はこのドライアイスによる冷却でご遺体の状態の維持をしますね。目安として24時間で10キロのドライアイスを使用するだけですので費用もそれほど掛かりませんしドライアイス用の冷蔵庫があればストックしておけますのでいつでも用意することができます。ただしドライアイスを当てた部分は当然凍ることになりますので当て方には注意するようになってきてます。
故人様を安置場所に安置したらドライアイスを当てることになるのですが、以前は手を胸の前で組ませてそこにドライアイスを当てていました。しかし最近ではそうすると手が凍ってしまいあとで触れた人がびっくりしたり、後日に着替えをすることになった場合に支障が出るなどの問題点が出てきましたので手を胸の前で組まずにドライアイスを当てるようになってきました。
ご遺体をきちんと保存するためにはとにかくまずは肺とおなかの内臓を冷やすことが先決です。その効果を高めるためにも手を組まずにきちんとおなかの部分にドライアイスを当てる方がよいので私もこの方がよいと思います。
よくご遺体の状況に関して必要以上に不安に思っている方もおられますけど、よほどでなければそこまでの心配はいりません。私の経験ですが真夏のお盆の時期に一週間状態を保ったこともあります。この時はドライアイスに加えて除菌用の薬も使いましたが、大きな処置をしたわけでもなかったですね。
ただしお亡くなりになられた病気などによってはあまり長くしない方がよい場合もあります。とはいえ篠山などでは関東のように火葬まで一週間待ちなんて状況はまずありませんからほぼこのドライアイスで十分状態を維持することができると思います。またこのドライアイスと併用して除菌剤などを使用することで一層効果が大きくなります。当社ではほぼこの二つで十分問題なく保存できていますね。
つぎにここの所よく聞くようになった方法にエンバーミングというものがあります。これはご遺体を消毒、修復してきれいにし体内に防腐剤などを入れて保存するものです。もともと土葬が中心のアメリカなどで行われていたもので、近年日本にも持ち込まれてきました。先ほども書きましたが関東などでは火葬場の空きがないことが原因で1週間以上お葬儀ができないなどの状況が普通にあり。それだけ長い時間ご遺体の状況を保つためにエンバーミングが行われるようになってきました。
この処置を行うと確かにとてもきれいな状態でご遺体を保つことができますし、もしも傷などがある場合でもきれいに修復してもらえます。費用は15~20万円ぐらいかかるのですが、長期間状態を維持しなければならない場合には仕方がないのかもしれません。
ただし、これは私の知り合いのお葬式であったことなのですがお亡くなりになって二日後にお葬式をするのにわざわざエンバーミングをしていたことがありました。私が見たところその故人様にはエンバーミングをする理由がある感じではありませんでした。おそらくドライアイスのみで十分保存可能だったはずです。不思議に思って聞いてみたところ、知り合いはどうやら葬儀担当の方に勧められて行ったようですが、なぜするのかの説明もしなくても大丈夫という説明も無く、なし崩し的にすることになったようでした。
確かにご遺体はきれいな状態でしたし、意味があるのかないのかと聞かれたらどっちともいえませんが私が担当ならまず勧めることはなかったと思います。正直費用的にも大きなものがかかりますし、専門施設にお連れしないといけないので故人とご家族が過ごす時間も少なくなってしまいます。もしそのために一日日程をずらせばその分会館利用料金もかかりますから、結局お金を葬儀社に余計に払うことになりかねません。家族の方からぜひにといわれれば別ですけど。
後日、業界の知り合いに聞いてみて驚きの返事が返ってきました・・・・
「そこの葬儀社、会社全体でエンバーミングを売るように指示が出てるんやで、そやから担当者も無理にでも勧めることがあるらしいわ」
いや…ホンマ勘弁してください…
エンバーミングは遠方で亡くなった方をきれいに連れ帰るためとか、もともとは南北戦争やベトナム戦争で戦死した方をきちんと祖国に帰すためとかの目的で広まった部分もあります。ご家族にできるだけきれいな状態で引き合わせたいという想いもこもっていたはずです。そういう意味ではとても素晴らしい技術なんですね。
それを会社の売り上げのために意味もなく勧めるって…
知り合いの場合も葬儀社さんが見たところもしかしたら何らかの事情が本当はあったのかもしれませんがそれでもなぜ必要かの説明はあって当たり前だったと思います。でももし売り上げのためだとしたら
「ホンマいい加減にせなあかんで!!」
といいたいですね。というかもう情けないです…
ご遺体をきちんと保存するというのはとても大事なことです、しかしご当家が知らないからと言って好きなようにしてよいものではありません。皆さんにもこのブログを呼んで知識をつけていただければと思いますし、私ももっと情報を発信したいと思います。