仏衣(白装束)のこと<篠山のお葬式屋さん徒然日記>

みなさんこんばんは、今回は

仏衣(白装束)について

書いてみたいと思います

仏衣」といわれるとピンと来ないかもしれませんが、「白装束や死に装束」といえばわかるんではないでしょうか?仏衣は亡くなった方に着せる衣装で白い着物と手足につける小物がセットになっています。以前は亡くなったら基本的にこの仏衣を故人様に着せていました。

ちなみに神道のお葬式の場合でも真っ白な袴を着せて神主さんの格好になってもらうんですよ。新式のお葬式は明治以降から行われたのでおそらく仏式の白装束の習慣からそうなったんでなないかと思います。

以前は仏衣は葬儀社が用意するんじゃなくて奥様が自分の分とご主人様の分をそれぞれのご家庭で作っていました、今でも80~90歳ぐらいの方ですと自分で作られた仏衣を持っておられる方がいます。私ももし作っておられるならできればそれを使ってあげたいなと思います。着物の方は結構サイズが合わなくなっていたりするので、その場合は小物だけでもつけてあげるようにしています。よく仏壇の下なんかにしまってあるので見てみるのも良いかもしれません。最近では故人の好きな服装を着せてあげることが多くなってきましたので手足の小物だけを身に着けて着物自体は着せずに上にかけることの方が多いです。

ちなみに小物をつける時などには結び目を縦結びにします。ちょうちょ結びの羽を縦に向くようにするのですが、子供のころにスニーカーのひもなどを縦結びにして怒られた人いるんじゃないでしょうか?この時にする結び方なので昔から普段はしないようにしてきたんですねー。

この「仏衣」必ず必要かといいますとそうではなく、基本的に浄土真宗の場合は必要ありません。その理由は「仏衣」というものはよく「旅装束」ともいわれるのですがその名の通り49日間の旅をするための服装なんです。わかりやすくいいますと「お遍路さん」のような格好と思っていただければいいんじゃないでしょうか?ですから以前は編み笠なんかもお棺に入れていました。浄土真宗さんの場合は49日の旅をすることなく亡くなったらすぐに極楽浄土に行けるという教えなので、旅の支度はそもそも必要ないということになります。ただし、ご当家のご希望や、田舎の地域などですと先ほども言いましたようにご自分で作られていたりとかしますし風習として入れることもあります。

私がまだ若いころですがお葬式の時に仏衣セットとして藁草履があるんですけど、これを見たおじいちゃんが「藁草履やなくてわらじをもってきてくれ」と言われました。さいしょ「??」だったんですけどよくよく聞いてみるとただひっかけるだけのぞうりタイプじゃなくちゃんと足に結ぶひもまで付いたタイプじゃないとだめだとおっしゃっていたんです。葬具業者でもそういうわらじは作っていない頃だったので仕入れることができなかったんです。ですから事情を説明したんですけど頑として納得していただけなくてどうしようかと思っていました。少しお時間くださいとお願いして困りながら事務所に戻る途中ふとあるお店を見るとそこに

ぶら下がっていたんですよ「わらじ」が!

早速店に飛び込んでお店のご主人に事情を説明して分けていただけないかとお願いしたら、売り物じゃなかったのに快く分けてくださいました。あの時はホント助かりました。こういう観光地だからこそ手に入ったんでしょうねえ。あのおじいさんも故人様の旅の無事を祈る想いが強いのでできるだけちゃんとしたものを用意してほしいということだったんでしょうが、

正直一瞬困り果てましたよ…

何とか用意できてよかったです。

あと仏衣のなかでひときわ目立つ三角の額に当てる布なぜこれをつけるのでしょうか?私の世代ですとドリフのコントの道具のイメージが大きいんですけど…、あれにもちゃんとした理由があるんです。

この三角の布は「天冠」といいましてその名の通りかんむりです。理由でよくいわれるのはこのかんむりは故人様が旅をしていると35日目にかの有名な閻魔大王様のところに到着します。閻魔様は怖い方ですし裁判所というところに行くわけですから失礼のないようきちんとした格好をする、そのためにこの天冠をつけるというわけです。ほかにも諸説はありますが。

このブログで何度も言っていますがお葬式に用意する道具には一つ一つに意味があります。その多くが故人様が旅で困らないようにといった想いを込めるものです。私たち葬儀社もその意味をわかりつつこのようなものを用意したいものです。

余談ですが先日ある葬儀社が浄土真宗のお葬儀で仏衣を故人様に着せていました。私たちも当家の方が着せてあげたいからなどの理由で用意することはあるのですが、ご当家に聞いてみたところ要望もしていないし、特に説明もなかったようなのです。さらにその仏衣1着が20000円もするものだと聞いてびっくりしました。田舎の地域ですと今までの風習で宗派にかかわらず白装束は入れるものとして入れることもよくあるのですがさすがにそんな高額なものを着せることはありませんし、必ず説明を葬儀社がするのが普通なんですけどねえ。ご当家によると「故人様の好きな服を着せましょうか?」という確認もなかったとのことでした。こういうやり方を見聞きするたびに葬儀業界のためにも

プロやねんからちゃんとしろっ!こんなんするから不審に思われるんやろ!

と思ってしまいます。ただでさえ宗派的に必要がないものを説明無しに着せてるだけでなく通常より高額なものを売って着せるというのは倫理観を疑ってしまいます。業界でも最大手といわれる葬儀社さんでしたし・・・。こういうことが起きないように皆さんにも知識を持っていただけたらと思います

少し脱線しましたが仏衣とは故人様が49日間旅をするための装束でやはりこれにも旅が無事でありますようにとの思いが込められています。このような一つ一つの想いを大切にしていきたいものです。

 

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